時は金なり

「先生はどうやってこういう切りたい気持ちを止めたの?私、またこんな気持ちになった時に止められる自信、ない」

と、渚は自嘲気味に言った。

「あんまり参考にならないと思うけど、まあいいか。俺は実際、何度も切ったよ。正確には切ろうとしたんだ。そのたびに親父に怒られたけどな。心の平静を保つには切らずにいられなかった。もちろん怖いって気持ちもあったから傷を薄くつける程度だったけど、不安なことがあるとすぐに切ろうとしたし、抑えようとも思わなかった」

隼人はそう言いながら自分の手首の傷をなぞった。

「だから未だにこんな傷がくっきり残ってるんじゃないかなって思う。…まあ、それは俺の推測だけどな」

隼人はそう言って、渚の頭を撫でた。

「でも、先生は最終的には止められたんだよね?どうやったの?」

渚は興味津々の様子で隼人を見つめた。

隼人は何か言うことをためらっていたが、すぐに話し出した。