次の日、渚は隼人のことが心配でならなかった。

あの後、リストカットをしたくなったりはしてないだろうか。

フラッシュバックが原因で何か問題は起きてないだろうか。

自分のことより隼人のことが気になっていた渚だったが、隼人は回診の時間にいつも通りに部屋に入ってきた。

「おはよ、渚。今日はどうだ?」

という隼人の問いかけが終わる前に渚が問いかけた。

「先生、大丈夫?」

明らかにこの言葉のほうが早く言えるので、隼人は途中で言葉を区切らざるを得なかった。

「…何でお前が俺に聞くんだ?」

隼人はまるで昨日のことを覚えてないかのように、本当に首をかしげた。

しかしすぐに昨日のことを思い出してうなずいた。

「あ~、俺のフラッシュバックのことか。今の今まですっかり忘れてたよ。そんなぐらいのもんだから気にしなくていいぞ!ったく、今のお前は人のことどころじゃないだろう?俺のことよりお前はどうなんだ?」

隼人は呆れたように問いかけた。

しかし渚は本気で心配していたのに、隼人の扱いが余りに邪険だったのでむくれてしまった。