時は金なり

「いいか?…あるところに一人の男の子がいたんだ。彼が話の主人公さ。彼は当時16歳だった。彼は学校でもかなり活発な子で、下級生はもちろん、同級生の友達、先輩や先生からも大きな期待を寄せられていた。頭も結構良く、面倒見の良かった彼にはそれが昔からの日常だった。委員会や部活にも積極的に参加してかなりの功績を残していた。でもそんな生活は彼にはかなり負担が大きかったようで、いったん学校から離れると学校での元気がうそみたいに落ち込むことが多かった。そしてちょっと無理をしすぎた日、彼は家の自室で思い切り手首を切った。そのころは手首を切るのは自殺をしたいと考えてる異常な行為とされていた。精神病院に入れられそうだったところを医者だった父親の助言で、手首の傷を治すという名目で一般病棟に入れられた。入院中、彼は今の渚と同じようにパニック症状を同時に引き起こした。でもすぐ自己コントロールできるようになった。しかし心の状態の回復は長く時間がかかった。もちろん徐々には良くなっていたが、学校に戻っても月に1回のカウンセリングは大学になっても続いていた。しっかりした正常な心の安定を取り戻したのは就職活動が始まったころで、病院通いもそのころからなくなった。…今、その子は高校の養護教員をやっている」