時は金なり

「じゃあ最初はお前の問いかけに答えようか。『こんな泣き虫で弱い私、嫌いだよね?』だっけか?答えはノーだ。そんなことで嫌いになるわけないだろう?」

渚は本当に驚いたように振り返った。

あまりの驚きで涙は止まっているようだった。

「お、やっとこっち向いたな。これでこそ話が出来るってもんだ。で、続きだけどな、確かにお前は俺の前でよく泣いてるよ。それこそ数え切れないぐらいお前の涙は見てきた。でもそれはお前が弱いっていう証拠にはならない。弱いやつが泣くって誰が決めた?お前の涙は弱さから来るものじゃないだろう?いつだって自分に対して腹立たしいとき、悔しいとき、そして他の人の悲しみや痛さが分かるときにしかお前は涙を流さない。それは弱さじゃなくて、自分に対する厳しさと人に対する優しさじゃないのか?」

隼人の言葉は渚の胸を熱くさせた。

そして何より隼人の自分に対する理解がうれしかった。

しかし今回のことはそれで片付けられなかった。

渚はわざとぶっきらぼうに聞いてみた。

「じゃあ今日泣いたのは?」

「これは確かに今さっきの理由は当てはまらないな。でもこのことはしょうがない。パニックは誰にでも起こりうることだし、お前はまだ自分でもあのショックから立ち直っていない。お前はこの言い方は嫌いかもしれないけど、言えば病気のせいだ。どうにかできるのは時間だけさ」

隼人は別に当たり前だというような口調で答えた。

渚もこれには納得するしかなかった。

そしてやっと笑顔を隼人に向けた。

隼人もその笑顔を見て微笑んだ。