時は金なり

「なぎさ、渚!しっかりしろ!!おい!」

隼人は懸命に叫ぶが、渚には届かなかった。

渚は泣き叫び、何振りかまわず腕を振り回すだけ。

そんな渚を隼人はやっとのことで抱き起こした。

そしてしばらく声をかけながら抱きしめた。

するとだんだん夢の世界から戻ってくるかのように、渚は次第におとなしくなっていった。

そして一瞬のうちに現実の世界に戻ってきたのだった。

すぐには状況把握ができないらしく、何が起こったのか不思議そうだった渚に隼人は笑いかけた。

「大丈夫か?ちょっと深呼吸してみろ」

渚は息も絶え絶えの自分に気づいて、徐々に何が起こったかを思い出し、深呼吸とはいえなものの、息を漏らした。

「ごめんなさい、先生。またパニックみたいになったんだね、私。…どうしたら治るんだろうなあ…」

渚は悲しそうに天井を見つめて言った。

まだ涙のあとが残る頬をこすりながら渚は隼人に話しかけた。