隼人が電気を消して出て行くとき、渚がぼそっとつぶやいた。

「あー、昼間に寝すぎてもう寝れなさそう」

渚の呟きを聞いた隼人は軽く笑って答えた。

「大丈夫だよ。今まで寝てなかった疲れが体中にたまってる。それをとるだけでも1週間ぐらいはいくらでも寝れるさ。それに今日の朝まで3日前から今日の朝まで眠り続けるぐらい体力を使ってたわけだし」

そう言って隼人はドアを閉めた。

暗くなった部屋の中で渚は眠りにつくことができなかった。

天井を見ながら刻々と時間が過ぎていった。

つまり先程の寝れなさそう、というのは渚の本音であった。

いくら寝ようとしても、目を閉じるたびに自分がやったことが鮮明に思い出だされて、呼吸の乱れと共に恐怖が湧き上がってきた。

いわゆるパニック状態である。

自分でどうにかしようとあせればあせるほど、呼吸は荒くなり、湧き上がってくる恐怖を止められないことに涙を流した。

身体中が冷え、震えだし、おまけに回想シーンと同時に左手首の傷までうずきだした。

もう泣きっ面にはち、どころの騒ぎではなく、渚は本当に死の恐怖に駆られていた。