時は金なり

隼人は何かをカルテにメモを取ってるようだったが、渚の目が自分のほうを向いてることを確認すると、カルテから目を上げて微笑んだ。

「どうした?そんな感じでいいんだぞ?他に何か思い当たることはあるか?」

「…先生、怒らないの…?」

渚は話し出すとすぐに目線を落とし、隼人とのアイコンタクトを避けた。

隼人は小刻みに震えている渚の頭に手を置いて、優しい声で語りかけた。

「何だ、そんなこと気にしてたのか?大丈夫、もう怒らない。俺の怒りはさっき全部すっ飛ばしたから。それに正直に話してくれてるお前を何で怒るんだ?逆に俺に怒られることを気にして何も話さない方がよっぽど怒りたくなるよ」

隼人は渚の頭を軽く撫でた。

その行動は渚の不安をかき消すのには十分だった。

渚はすぐに笑顔を取り戻し、他に何かを思い出そうと、必死に考え始めた。

しかし、何も思いつかずに何分かが経過した。