時は金なり

「…先生…。本当にごめんなさい。自分がやったことはしっかり覚えてる。でも何であんな行動に移ったか記憶にないの!自分でも自分が怖いよ。先生、どうしたらいいの!?先生に迷惑ばっかりかけている自分がいや!いっそのことあのまま死んでたほうが良かった!」

渚はそう言うと、布団をすっぽりかぶり、中で泣いていた。

その声は言うまでもなく、隼人の耳にも届いていた。

「馬鹿なこと言うんじゃない!!」

隼人は今までにないぐらい大きな声で渚に怒鳴った。

一瞬渚が布団の中ですくんだことは分かっていたが、それにはかまわず、渚の布団を思い切りめくりあげ、そして少しなりとも落ち着いた声で話し出した。

「俺の目を見て話を聞け。いいか?死にたい、死んでいれば良かったなんてことは絶対口にしてはいけない言葉だ。自分の命を粗末にすることほどこの世の中でばかげたことはない。そして絶対にやってはいけない行為にお前は及んだんだ。それはどんな理由があっても許されることじゃない。お前は自分が怖いと言ったが、それは自分が何をしでかすか分からないからだ。じゃあそんな自分がいることを認めてやれ。自分の中の弱さを認めるんだ。こんな行為に及んだ自分を許してやれ。そしてその事実から逃げるんじゃない。逆にその事実をじっくり見つめてやるんだ。そして二度と忘れてはいけない」