時は金なり

瞬間的に渚は顔をしかめて低く呻いた。

そして隼人に抗議をしようと思ったが、このころには意識ははっきりしていたので自分で墓穴を掘るだけだと思い、口をつぐんだ。

そんな渚を見て隼人は軽く笑った。

そして手首を離すと、

「へえ、お前でも悪いことをやった、っていう気は一応あるんだな。そうじゃなかったら絶対いつものお前は言い返すよな」

と憎まれ口をたたいた。

渚はまたもや何かを言いたげな顔を向けたが、返す言葉もなくただただ黙っていることしか出来なかった。

しかし次に隼人の言葉で渚は救われたのだった。

「その傷のことはまた話すとして、とにかくお前が無事でよかったよ。一時は命とまではいかなくても意識の回復さえ出来るか分からない状態だったんだ。とりあえず何であろうと、お前が正常に意識を回復してくれて、今俺と一緒に話してる。それだけで何も文句はないよ」

隼人は優しい言葉を投げかけた。

しかし渚は逆にその優しさを重荷に感じてしまったようだった。