「おい、渚!しっかりしろよ!」

そう言って隼人は自分の腕の中にいる渚を揺さぶった。

渚はすぐに目を覚ました、というか元から寝ていたわけではなかった。

というのは渚は隼人の腕の中で目を覚ました後、すぐに状況把握をしていたのだ。

「ごめん、先生。なんか身体が思うように動かなくて…」

「なんだ、お前、気絶してたわけじゃなかったのか?ったく意識があるならしっかりしろよ!怪我するぞ?」

隼人は心配そうな顔をしながらも何となく安心した表情を見せた。

そしてゆっくり渚をおろした。

「っしょっと。歩けるか?」

隼人はやさしく話しかけた。

渚は少しふらついたものの、すぐにバランスを取って自分で立った。そして落ち着くと、

「先生、ごめんなさい。私、重かったでしょ?」と言った。