「渚、起きろよ。もう朝だぞ!これ以上寝るのは危険だって!どうせ夢でも見てるだけだろ?そんなもんはいつでも見られるから!あとからならどれだけ寝ても何も言わないよ。だからとにかく今は起きてくれ。なあ、渚!聞いてるか?渚!…おい、なぎさ…」

隼人はそう言いながら泣き崩れた。

隼人が渚に見せる初めての涙だった。

その涙は隼人の頬を伝い、渚の手に落ちた。

涙のしずくは何度も何度も渚の腕にこぼれ、そしてベットに落ちた。

そして、そのしずくに反応してついに渚の手がかすかに握り返した。

いくら私情に駆られていても隼人は優秀な医者であり、その反応を見逃すわけがなかった。

すぐに立ち上がって顔をのぞいてみたが、変わらず目は閉じられたままで、眠り続けていた。