隼人は信吾が話してる間中、ずっと父親の顔を見ていたが、話が終わると顔を天井のほうにまっすぐ向けて、やがて一筋の涙を流した。

そしてうわ言のように渚の名前を呼び続けた。

信吾はそんな隼人を痛々しく思った。

しかし何を出来るわけでもなく、ただただ見守るしか出来なかった。

しばらく黙っているしか出来なかったが、やがて声をかけた。

その声は隼人を励まそうとしている優しい声だった。

「ほら、お前の気持ちはよく分かる。でも今、お前も休まないといけないんだ。もう一つ点滴を入れておくからその間ぐらいは渚君のことよりも自分のことを考えなさい。大分疲れてるんだろう」

そう言うと信吾はさっさと点滴を新しいものに取り替えて、やがてその部屋を出て行った。

その間も隼人は渚のことが頭から離れなかった。

しかし疲れているのも事実で、すぐに眠りに入っていった。