時は金なり

先に目を覚ましたのはもちろん隼人のほうだった。

目が覚めた場所は応急処置室のようだったが、最初隼人は自分がどこにいるのか分からなかった。

不安になって急に起き上がったのだが、立ちくらみを起こして、思わずうめき声を出してしまった。

その声に反応して奥の部屋から出てきたのは信吾だった。

「まだ少し寝てなさい。軽い貧血を起こしてたから、一応点滴を入れといたが、気分はどうだ?」

信吾は少したしなめるような口調で聞いた。

隼人はバツが悪そうに少し顔を上げ、またすぐに顔を下に向けた。

そしてゆっくり横になると、軽く話した。

「…まだ少しふらついてるけど、もう大丈夫だよ。心配かけて悪かったな、親父」

隼人の元気そうな声に少し安心した信吾は少し笑みを浮かべたが、すぐまた隼人の反省を促すような目で隼人を見つめた。