時は金なり

それまでは「リストカットもどき」であった。

そのために痛みを少し感じていた。

しかし最後は本当の「リストカット」であった。

切った瞬間は痛みを感じなかった。

そして血も出ていなかった。

切った部分は白い脂肪のようなものが見えていて、それが分かった瞬間に血が湧き出てきた。

その血は次々に流れ出し、流れは心臓の拍動と連動し、ドクンドクンというリズムのもとで渚が腕を曲げているために肩のほうへ向かって流れていた。

その流れ出る血を見つめながら渚は貧血状態に陥り、その場に倒れこんだ。

そして次第に意識は薄れ、深い深い眠りに落ちていった。

渚が気を失っても真っ赤な血液は流れ続けていた。