時は金なり

ベッドの上にいた渚はゆっくり起きだした。

多少なりともめまいを感じたが、少しじっとしているとすぐに治まった。

何となく保健室の中を歩き回る渚はいつも見ている保健室と分かりながらも何か違う世界のように感じて仕方がなかった。

そして隼人の机に置いてあったカッターを見た瞬間、頭の中にあるときテレビで見た状況がよみがえってきた。



『なんで手首を切ったんですか?』

と問いかけるレポーターに対して、

『自分が許せなかった』

『無性に切りたくなった』

『自分が生きてるということを血を流してでも感じたかった』

とさまざまに答えるリストカットの経験者たち。