とてつもなく変な気分だった。

まずいつもの渚なら一度寝たら小一時間は目を覚まさない。

たった5分で目を覚ますのは明らかにおかしかった。

こんなに浅い眠りなのは何か気分が昂ぶってるときや授業中などの少々騒がしい場所で睡眠を取ったときである。

今の渚はなぜか気分が昂ぶっていた。

というより情緒不安定といったほうが的確かもしれなかった。

睡眠に入る前の渚は疲れ切っていたために、何の行動も起こす気にもなれなかったが、そんな状態で睡眠に入ると少しの時間で多少なりとも疲れが取れるのである。

まるで徹夜明けの日の授業中の睡眠のように。

しかし気分の昂ぶりは治まっていなかった。

何かに対する苛立ちが渚を支配していた。

つまり身体的には多少疲れが取れて、行動力も戻ってきてはいるが、精神的にはまだ復活していなくて何かに対していらついている、というのが今の渚の状態だった。