「やっぱり来たな。どうだ気分は？」

隼人はゆっくり歩きながら渚に話しかけた。

「保健室に来る…生徒の…気分がいいわけないでしょ！もうだめ。頭は重いし、身体もだるい」

「まあ、そう言われりゃその通りだけどな。これは天罰とでも思っとけばいいんじゃないか？無理して仕事したことと、養護教員の言うこときかなかった罰だ」

そう言い終わると隼人はいきなり渚の足も持つ形で抱きかかえた。

つまり「お姫様だっこ」の形である。

今の状況判断が鈍くなっている渚は何が起こっているのか一瞬迷ったが、すぐにその現実を理解した。

そして理解すると同時に顔を赤らめ、逃げようと暴れだした。

隼人はそうなることを予想していたのか、まるで慌てず、体勢をよじりながらも悪戯っぽい笑みを浮かべた。

それを見て怒るのは渚である。