その日の前半、渚は眠かったものの、いつもどおりの元気さで授業を受けていた。

しかし授業を受けるに連れてだんだん頭が重くなっていき、しかも自分でもなぜか分からないぐらい何か落ち着きがないために呼吸も不安定になり、まるで昨日の倒れる前のような症状に襲われてしまった。

渚は直感的にやばいということを感じ取り、昨日と同じ事を起こす前に、しんどくなり始めた次の時間―5時間目―の途中で先生に断って保健室に行かせてもらった。

しかし実際渚自身、ただの寝不足だと考えていた。

そのためにこれから自分で引き起こす事件のことなど思いもよらなかったのである。

階段を下りながら渚は自分の意識を保っているのがやっとだった。

一歩踏み出すたびに足はフラフラするし、瞬きをすれば何となく視界がボーっとするような感覚があった。

それを何とか我慢し、保健室までたどり着き、ドアを静かに開けた。

隼人はびっくりしたようにドアのほうを見たが、渚の姿をそこに認めると、微笑を返した。

そして調子の悪そうな渚に寄り添うべく、すばやく渚の肩を支えた。