「大丈夫ですよ、先生!もうすっかり元気になりましたから。残ってたのは、明日が期限の仕事がまだ終わってなかったからです。準備がまだ終わってなくて…」

「だめだ。もう帰れよ!いくらお前が大丈夫と思ってても身体は休息を必要としてるはずだ。それぐらい高校3年生なんだからわかるだろ!?」

渚は反抗してみたものの、結局押し切られて帰らされることになった。

しかも護送つきで…。

その道中、渚は不機嫌でずっとムスッとしていた。

隼人は渚の機嫌を取るとかの問題ではなく、半ば呆れ顔でため息をついた。

家の前に着くと、隼人はゆっくり車を道の脇に寄せた。

そして

「ほら、渚。いい加減に機嫌を直せよ。お前の身体のことを心配して言っただけだろ?明日からは何も言わないから今日ぐらいはゆっくり休めって。な?」

そう言って隼人は渚に話しかけたが、渚はぶっきらぼうに返事をして車のドアを開け、お礼を言うとすたすたと家の中に入っていってしまった。

隼人は肩をすくめ、渚が家に入っていくのを見届けると車を発進させた。