時は金なり

「私、何で保健室にいるの?バレーの授業中だったはずなのに…」

と不安そうに尋ねる渚。

隼人は渚の頭をゆっくり優しく撫でながら、答えた。

「覚えてないのか?先生の話からすると、試合をしてて、アタックを打とうとジャンプして着地した瞬間、ふらっと倒れたそうだ」

「…そう言われればそんな気もするかも。なんか今日ボーっとしてる」

と渚は言葉どおり、天井を焦点のあってない目でボーっと眺めた。

「また無理してるんじゃないのか?今のところ、身体に変調は見られないけど」

そう言いながら、隼人は片方の手を渚の首筋に当て、頚動脈で再度脈を取った。

そして自分で納得すると、またその優しい目を渚に向けた。

渚もまた隼人の優しい姿を見てにっこり笑った。

そして明るい声で話し出した。

「私、確かに無理してるね。でも今はもう大丈夫。無理してた分はここで休めたし、何か先生の顔見たら、いらいらして心が落ち着かなかったのが治っちゃった」

「本当か?いつもいつも無理ばかりするからな、お前は。さっきも言ったけど、なんでも相談に乗るから。身体壊したら元も子もないだろ?何回も言ってる言葉だけど、身体は大切にしろよ!本格的に壊したら再起不能になることだってありえるんだからな!」

隼人はそう言って渚の頭を撫でた。

その後渚はもう少し休んで無事に授業に戻っていった。