赤いりんごの青い果実



『わわ忘れ物、取ってきてもらえる、
だだ、だけで、十分、ありありがたいし
あの、だか、だから、その…』



うまく言えない


言葉を紡ぐことができない



あぁ、どうして私は
こんな体質になってしまったんだろうか




「本当か?無理すんなよ?」


心配そうに、チビの私のために
目線を合わせて語り掛けてくれる



朽木君って、優しいんだなぁ

女の子達が噂するのも、分かるかも



『うう、うん』


「じゃあその忘れ物取ってくるわ
どこにある?」


『え、え、つく、机の上の、
プリントだ、だよっ』


「おっけ」




くしゃ、と人懐こい笑みを見せて


彼はそのまま
教室へと消えていった