『ドサッ!!』
突然の物音で、思考は途切れる
ゆっくりと音のした方向に振り返ると、そこには教科書をいっぱいに持って困った顔をしている生徒がいて、周りに小さな体で支えきれなかった教科書たちが散らばっていた。
「大丈夫?」
そう言って手早く教科書を集め、どうぞ、と近くの机に乗せた。
「わあ!!すいません!!ありがとうございます!!!」
そんなに焦らなくてもいいのに、と思わず笑って言うと、顔を少し赤くして微笑んだ。
かと思いきや急にハッとした顔になって
「ここって英語の教室ですか??」
と尋ねてきた。
そうだよ〜ちなみに俺が英語担当
というと、あー!!!!!
と叫び出した。
表情のころころ変わる、忙しい子だなあと思いつつ、どうしたの?と聞くと、とても申し訳なさそうな顔をした。
「本当にすみませんなんですけど…
今日提出の春休み課題を家に忘れちゃって」
なんだ、と思った。
正直春休みの課題は締め切りは、あってないようなもので、提出さえすれば問題無かった。
なのに、あまりにも焦って、しょぼん、としているその子を見ると意地悪をしたくなってしまった。
