私の心は次の日から晴れ晴れしていた。
何もなかった。いつも通り佐藤くんと話した。私は変わってなんていない。
変わってしまったのは佐藤くんだから。
いつもみたいに、目を見てしっかりと話したのに、なんか佐藤くん逃げちゃって。
恥ずかしかったのかな。久しぶりだから。






次の日から放課後はよく、図書室に行くようになった。
結構河内くんと会う。

二人でくだらない話をした。
テレビの事とか、授業の事とか進学の事とか。


河内くんは大学へいかないみたいでそのまま何処かへ就職するらしい。
親の実家を継がされるとかなんとか。




いつしか、私の日常はまったく違うものになっていた。
佐藤くんと登校していた、朝はなこちゃんと行くし、授業中は小テストなんて、まったく気にせずぽんやり授業を聞いていた。


放課後は本を片手に河内くんと喋って、
下校の時は家の買い物して帰っていた。



なんだか、そんな日常が嬉しかった。





私は佐藤くんに執着してただけなのかな




ある日のことだった。 
図書室でいつもみたいに話してると
なんだか、うるさい奴らがやってきた。

耳障りなんだよ。
ドッカいってくんないかな。




「なんか、邪魔だよね。あいつら。」
  



「…………そうだね。」



  
「じゃ、俺ちょっと行って来るね。」




「あっ…………うん」





彼らは、本を引っ張りだして、
読むフリをしながら、携帯をいじって、大笑いしていた。
本の使い方が間違っている。
読みたい人だって、いるのに。




「ねぇ?先輩ら?なにやってんの?」



「何って?わかんねぇかな一年坊主。ご本を読んでいるんですよ?図書委員くんかな
まったく、そんなのも、見てわからないのかね?全国のチビッ子達に俺らのこの姿を推進してほしいくらいだよ。お手本そのものじゃないか?」



「きゃははは マジうけるっ」



「それなあwwwwwwwwwwwwwww」




黙れよ、うっとおしい。



「そっか。そこを、どく気はないんだね」



「わりぃな。俺たち、いい子だからぁ。」




「「「 ガッッッッッッ‼‼」」」


「ッッッッッいってぇっ‼」


不良のスネに、河内くんの、蹴りが
炸裂。
あれは、痛いな…………



「てんめぇ…………ッッッ‼」



「あれれ?どうしたの?いい子なんでしょ
そんなに、うるさくしたら、駄目だよね」



「せっ先生呼ぶわよっ?下級生だからって
甘やかしてると思ったら大間違いだから」



「ふーん。いいの?先生呼んでも、
おねえさん、お兄さんらが何してたか知らないけどさ?俺は停学だろうと、退学だろうと、痛くも痒くもないよ?前も何回か、やってるしね。」






知らなかった…………




「…………ッッッにゃろぉぅっ‼」



なんだ、あの掛け声…………?



脛を蹴られた人の右ストレートが河内くんに向かう。
余裕の表情で、腕で、ガード。
かっこいいじゃん。


確かに、喧嘩なれ、してそうだ…。

「もっと、早くきなよ。つまいんないじゃんか。」


満面の笑顔。
悪魔の微笑みにしか、みえない………

というか、此所図書室ですけど。





一瞬、河内くんが、相手から目を離した。





その、直後相手の蹴りが河内くんの太ももに炸裂。



しゃがみこんでしまった。





「おいっ‼何やってんだっ」




先生が図書室に入ってきた。


「なんっ何で先公がいんだよっ‼」



「大丈夫か?河内…………?」




「はい。大丈夫です。なんとか…」


先生は不良共の方をみると、


「おまえら、ちょっと職員室に来い‼」



「その、ガキが悪いんだよっ‼」



「そうだよ。うちらは正当防衛だ‼」



「どうせ、また騒いで注意されたんだろ、
現に、こいつはうずくまってるからな。」



グチグチいいながら、連行されていった。



ポンヤリ見送っていると、河内くんが、
スッと立った。


「え…………大丈夫なの?」



「全然平気♪あいつら、馬鹿だね。」



あのとき、河内くんは先生が来たのに気づいてわざと、やられた演技をしたんだ。









せこいな。