「…はぁ!?どこでだよ!?いくら警官ついてたって、秩浦椒鰲が何するか分かんねぇんだぞ?それに、威叉奈だって…」



護送させる時、手は拘束しても、足はしない。


威叉奈の希望で、会う時だけは警官の人数も減らしている。


隙を見付けてしまえば、何か出来てしまう。



威叉奈だって、自分を貶めた張本人である椒鰲に会えば、手を出さないとは限らない。


今はあの時とは違い、健康そのものだ。



「そうかもしれんな。」


「そうかもってお前…」



「話をつけてくる、吹蜂はそう言った。俺はそれを信じる。」



一人で大丈夫だと、威叉奈は言った。



「それに、過去にあれだけのことをして決別したのに、吹蜂の中でケジメはまだついてないと俺は感じた。今回逃すと、俺の権限から外れてしまうからな。」



消せない過去でも、消していい未来はない。


突き放した過去に覚悟を決めて、今ある未来を受け入れる勇気を持とうとしている。


棟郷は、それを邪魔したくはなかった。


たとえ、威叉奈が暴挙に出てたとしても責任は自分が取ると決めていた。