「お、れが…?族、の不利になるよ、うなこと、した覚えはねぇ。総長だって、継ぐ気はなかった。そ…、言っただろ…」


「俺は総長なんて興味なかった。威叉奈がなりゃいいと思ってたからな。」



「じゃ、なん、なんだよ…」



奪い取られた瞬間、反動でよろめいて体勢を崩す。


左横にあった木の幹に手を付いて転ぶことは免れるが、立て直すことが出来ずに片膝をついてしまった。



「威叉奈が総長になりゃよかったんだ。なのに、あんなサツに騙されやがって!」


「サツ……?トクさんか?」



当時で関わり合いがある警察関係者といえば、賭狗膳しか思い当たらない。



「トク…さんは、関係ねぇよ。トクさんがいなく、たって、俺はっ…総長を継ぐ気なんて……つか、俺、を総長にしたくねぇから、リンチ、したんだろ?」



椒鰲の言っていることと、やっていることが矛盾している。



「威叉奈には俺が必要なんだよ……威叉奈には俺だけでいいんだよ……なのに………」


「しょ、ご……?」


「なんで、視界に入らねぇんだよっ!!」



椒鰲は奪った枝を、威叉奈目掛けて降り下ろした。