15年前―――





「あ゛ー疲れた。」



早朝から暴力団のフロント企業にガサ入れをして、数日。


長期の内偵からやっと解放された賭狗膳は、愛する妻、苗込の待つ家へと帰る途中だ。



「なんだ、あれ?」



横にある公園の茂みで、何やら揉める声が聞こえてきた。



「んだよ、これだけか。しけてんな。」


「ひっ!ゆ、許し、てくだ…さい……もっ、これ以上はなにも……」



「お前、そこで何してる?」



「あ゙?」



「た、助けてくださいっ…!」



すがる様な目を向け助けを求めているのは、50代ぐらいのサラリーマン。


男物の財布を持ち、ガンを飛ばしているのは、制服を着崩した10代の女の子――威叉奈だった。



「はぁ……カツアゲかよ。ここはいいから、あんた早く逃げな。」



促されたサラリーマンは、足を縺れさせながら逃げて行った。



「なんだ、おっさん。なんか用かよ?文句でもあんのか?」


「ありまくりだな。俺はこういうもんだからな。」



そう言いながら、賭狗膳は警察手帳を見せた。



「ちっ、サツかよ。」