枯れた涙のその先に


「いやいやいや。何言ってんですか。部屋に入れるユキナさんが俺らより下なわけないじゃないですか」

「部屋って?」

「2階のことですよ。上には幹部と、幹部に認められた人しか上がれないんですよ。俺らの中でも許されてるのユウタさんだけなんで」

そんなルールがあるんだ…

だったら私ダメじゃね?許可出てないのに上行ったらアウトだよね?昨日思いっきりのぼっちゃったよ。なぜ誰も止めない

「ユキナさんはいいんですよ!」

思ってたことが顔に出てたみたい。大丈夫だと言われた。

「許可もらった記憶ないんですけど」

「ユキナさんは特別なんですよ。だから俺らよりも上の人間なんで頭下げないでください。敬語も禁止でお願いします」

まだしっかり理解できたわけじゃないけど、彼が深々と頭を下げるから、素直に従うことにした。

何より、初対面の私に優しくしてくれる優しい少年をこれ以上困らせたくなかった。

「わかった。ありがとう。えーと……何くん?」