「帰ろう」
私の声と足音が廊下に響く。
朝、シュンが1人で帰っていいと言ってたので、今日は正門から帰る。
数日ぶりの1人での下校に少し違和感を感じた。
1人でトボトボと歩きながら、私の頭の中はハナや瀬戸ソウマのことでいっぱいだった。
私のことを心配してくれた彼女は、きっと本気で友達だと思ってくれてる。
私との出会いを運命だと言った彼は、私のことを仲間ひしてくれようとしてる。
頭ではわかってるのに、心がそれを受け付けない。
「大切なもの」ができるのが怖いんだ。
でも、それ以上に今1人でいることが怖い。そんな矛盾してる自分がとても嫌だ。
「あっ、そっか……」
