枯れた涙のその先に


「おっ…おはよう。神上さん」

そう言ってハナは、私の横を通って教室に入っていった。

私も保健室に向かって歩き出す。

「何よ。神上さんって」

昨日まで「ユキナ!ユキナ!」って言ってベタベタくっついて来たくせに。

今、私の隣には誰もいない

そのことに少しだけ「寂しい」と感じてしまうのは気のせいかな?

「神上!」

急に声を掛けられビクッとする。

「もうチャイムなるぞ?教室に入れ」

「なんだケーちゃんか」

「なんだとはなんだ!早く教室に戻れ。俺はプラチナでも特別扱いしないぞ」

ケーちゃんはいつもそう言う。まぁ、リボンを見せて「校長先生のところに行こうかな?」って言ったら一瞬で意見を変えるチキンなヤツなんだけど。

残念ながら、今リボンを持ってない。

教室にあるカバンの中だ