夏芽が茉莉の過去について
語っていた頃、
茉莉はその人影を追っていた。





ーーーーーー拓真っ!!!



そう、そんなはずないと
もう彼はこの世にはいないと
言い聞かせても
その足は止まることなく走った。





「...........あっ...」



案の定、追った後ろ姿は別人だった。
しかし彼の隣には恐らく恋人だと
思われる女性がいた。




最愛の人に似ていただけあり、
隣にいる女性が自分と重なる。




「うっ....たくま....っごめん...っ」





笑っていると約束したはずなのに
こんなにも涙を流している自分が
腹立たしくて仕方なかった。