奏楽は単独でのドラマ主演が決まってツアーの準備との両立で大変そうだった。
奏楽は俳優業、俺はモデルとして…。
目指すものは違っていた俺らだけど、ユニットでいる間は目指すものは一つだったから、とても楽しかった。
目指すものがちがうからこそ、得るものもたくさんあったし。
奏楽といれるのもあと少しなのか…。
そう考えるともっと奏楽といる時間も大切にしたい、っと思った。



「そういえば、神楽坂は今回ソロもやるんだよな?
どういう感じにするか、決めてるのか?」

「あ、はい…。
全部自分でやりたいなって思ってるんです。」


「全部?自分?」



今まで甘えてきたものがたくさんあった。
トントン拍子で何事も進んできた。
確かに努力もしたし、いろいろなことも抱えて、悩んだりもした。
だけど、実際に考えてみると恵まれている環境のおかげだったのかなって思うんだ。
どんなに努力をしたってそれを見ていてくれる人がいなければそれは何でもない。
きっと俺はその環境や、周りのひとの暖かさに支えられてきた。
だから今回は自分一人の力で。
ここまでできるんだ、って成果と。
すべての思いを込めた感謝のあふれるステージにしたい、と思った。