つかまれた手を振りほどく。
その瞬間、奏楽の表情はとてつもなく悲しい顔をしていた。
ごめんな、奏楽。
今思えばさ、別に奏楽が悪い訳じゃなかったんだよな。って感じるんだけど。
この時の俺には自分自身を制御できる余裕なんてものが残ってなくて。
奏楽の悲しい表情を見ても、そんなの関係ないなんて悲しいことを思ってたんだ。
「美波に何があったんだ…」
「言えって…」
「蓮…でも…」
いろんな立場に挟まれながら奏楽は揺られていた。
自分の感情だけで動くことが出来ない。
いろんな気持ちを知っているからこそ、言えずにいた。
「お願いだから、すべて言ってくれよ。
奏楽。」
奏楽が隠していることを何か抱えているということはわかっていた。
きっとそれを話すことは誰かによって止められてるんだな…ってことも。
だけど、ここまで知ってしまった以上、知らないふりなんてできないんだよ。
奏楽…。
奏楽が話したことは美波が今体調を崩して入院していること。
原因はわからないけど、ただ美波はあの報道以来ずっと悩んでいた。
俺が黙って美波の前から消えたときから自分が捨てられたんじゃないかって。
美波はずっと考えてたんだ。
いろんなことをいろんなときに、いろんな感情をふさぎ込んでいた。

