僕は望まれて生まれて来たの?

お父さんも
僕が大切だったの?

僕は疎ましくなかったの?
静かに僕の隣で涙を流す母親。

またゆっくりと映像が変わっていく。




……何処……。




何かの乗り物の中。




今のお父さんの傍で、
点滴をぶらさげたまま眠ったままの僕。


その隣でお父さんは、
ずっと僕の手を握ってくれてる。



あれ?



お父さんが手にしてるのは……お母さんの写真。


僕がお父さんから貰った、
僕の知らないお母さんの写真。


その写真をみながら……泣いてる……。









お父さんは、お母さんのことを
ずっと愛し続けていたのですか?






『お母さんは……恭也さんに助けられて、
 でも助からなかったけど……
 だけど本当に嬉しかったの。

 最後の最期に恭也さんと再会出来たから。
 お母さん、素直になれたわ。
 
 真人をお願いねって頼んだの』


「お父さんは、
 お母さんの傍に居てくれたの?」


『えぇ、傍にいてくれたわ。

 真人のことも任せなさいって
 私に話してくれた。

 貴方のことをお願いできる人は
 恭也さん以外にいないもの。
 
 でも私のせいで恭也さんも
 恭也さんの家族も
 真人も皆、苦しめてしまったのね』

「お母さんの気持ちがわかったから。
 もう僕、何も言いません」

『あらあら、貴方とずっとお話していたいけど、
 そうも行かないみたいね。

 ほらっ、あちらをごらんなさい』



病室のベッド。



僕が眠り続けるベッドの周りには
僕の知ってる人たちが集まってくれてる。


病室のソファーで祈り続ける瞳矢。




瞳矢、僕を捜しに来てくれたの?
こんなに遠いところまで。




瞳矢の傍で頭を垂れて座り込んでいる飛鳥。




飛島、どうして俯いてるの?




もう一つのソファーには、
僕の昔馴染みのクラスメイトの直澄の姿。




直澄、会いたかったんだ。
ちゃんと生きてくれてたんだね。




僕のベッドサイドに座っている冬兄ちゃん。




……冬……兄ちゃん……。
瞳矢と一緒に来てくださったんですね。




『真人、帰ってきたわよ』


お母さんの言葉と同時にお父さんと冴香小母さん、
そして咲夜が病室に入ってくる。

お父さんたちは真っ直ぐに僕のもとへと訪れる。

冬兄ちゃんがすぐにお父さんに席を譲る。