瞳矢も顔を真っ青にしながら唇を噛みしめる。


飛鳥君は、
自分を責めるように眉間に皺を寄せて思いつめた表情を見せる。



そんな彼らを支えながら、
僕たちは到着したタクシーに乗り込んで、搬送された病院へと向かった。






「恭也小父さん。
 真人は?」


「今、胃洗浄が終わって病室に運ばれたよ。
 後は後遺症が残らないことを祈るだけだ」




そう告げた小父さんの言葉に、
緊張が走る。




真人を心配して駆けつけてくれたこの故郷のクラスメイトたちに、
恭也小父さんは対応して、お礼を告げると直澄君たちは真人の姿を確認して
病室の外で待機する。



僕もまた、瞳矢と飛鳥君を連れて
部屋の中に入ると、そこにはベッドの中で点滴に繋がれて眠り続ける真人の姿が入る。




「義兄さん……真人は大丈夫なの?」


心配げに呟く瞳矢は、
僕は確実な言葉は返せない。



今は真人が、
目覚めることを待つしか出来ない。

目覚めた後は、
後遺症が残っていないことを祈るしか出来ない。



だけど確実に言えることは、
真人が誰にも告げられず、一人抱え込んで
これほどまでに思いつめていたと言うことだった。



こんなことに縋ってしまいたくなるほどに、
追い詰められていたという現実。




瞳矢と飛鳥君を病院の近くに急きょとったホテルへと
送り届けて、僕は再び真人が眠る病室を訪ねた。



そこで、僕は真人にとっての
僕が望むこれからの未来を、
瞳矢の病名を含めて相談し始めた。



まだ眠り続ける真人の傍らで、
じっと彼の傍らで、目覚めを待ち続ける恭也小父さん。



その眼差しは……遠い昔、まだ両親と三人で暮らしていた、
あの日に見せた眼差しに似ていて。



僕は黙って病室を後にして、
病室の外の団らん室のソファーへと腰掛けた。


息を吐き出して、携帯から自宅に連絡を入れる。


こちらの現状を伝えると、
ホテルで宿泊することを告げて電話を切った。



長い夜だけが沈黙を守る時間。



ソファーに座った僕は神楽姉ちゃんと、
両親に真人のことを祈り続けながら朝を迎えた。