ボクは慌てて真人のお父さんを捜しに行く。



「浩樹、真人のお父さんは?」

「あっ、多久馬先生なら俺の後ろ。
 どうかしたのか?」

「義兄さんが院長を呼んでって。

 真人が見つかったんだけど様子がおかしいの」


ボクは慌てて浩樹に伝える。


「多久馬先生、こっちです。

 真人さん見つかりました。
 瞳矢の義兄さんが呼んでます」


大声で浩樹が伝えると慌てて多久馬院長は、
ボクたちの方に駆けつける。




「真人は?」

「この先です」

「どうした?
 冬生は?」

「義兄さんが院長を呼んでって。
 真人……動かなくて。
 真人の傍に……ケースが落ちてて……」



ボクが伝えるか伝え終わらない間に、
院長は慌ててボクたちを追い越していく。



「瞳矢、救急車呼んだのか?」

「まだ……」


浩樹は慌てて携帯を取り出して、
電話をかけるとボクに手渡す。


電話の向こうには、119番の職員。


慌てて救急車のお願いをする。



「落ち着いてください。

 救急車はそちらに向かわせます。
 急患の詳しい症状を教えていただけますか?」



症状……?


何?



……わからない……。




真人、どうして……。


ボクが混乱している間に、
背後から浩樹が電話を奪う。


「もしもし、交代しました。
 此方の状況は医師に代わりますのでそちらで聞いて頂けますか?
 今、交代します」


浩樹はそう言うと慌てて走っていって
携帯電話を義兄さんたちに手渡す。



ボクが呆然としている間に、
救急車はサイレンと共にやってきて
真人を何処かの病院に搬送していく。

ボクの前を担架にのせられて通過していく真人。
その救急車に真人とお父さんが一緒に乗り込む。





ボクたちは予約でタクシーを呼び寄せる。

タクシーを待つ間に、真人のお父さんから義兄さんの携帯に
搬送先の病院の連絡が入る。




タクシー組のボクたちは、予約のタクシーが到着次第、
乗り込んで、搬送された病院へと向かっていった。



神様、真人を助けてください。
ボクには真人が必要なんです。


真人、知ってる?
今、傍にはお父さんが居てくれてるんだよ。


真人を心配して、直澄たちも来てくれたし
浩樹だって、此処に居る。


皆、心配してるんだよ。


だから早く起きて……。


起きて、もう一度微笑んで。
ボクの大好きな真人の笑顔で……。