そう……ボクが今、
ここで何を言っても現実が変わるわけない。


だけど……間接的でも、
真人の小母さんの死は、ボクだって悲しいんだ。





そうやって思いつめるボクを、
義兄さんは黙って包み込んだ。






「瞳矢、瞳矢も悲しかったね。
 僕も……今、いろんなことを考えてた。

 だからこそ……、神楽姉ちゃんがずっと守り続けたかった真人を
 僕たちが守らないとね。

 今日、恭也小父さんに話そうと思うんだ。
 真人が見つかったら。

 瞳矢の病気のことも含めて、真人と一緒に暮らしたいって。

 ちゃんと……真人のことも考えて、話し合うから。
 その為にも、今は真人を探そう」



義兄に言われて、ボクたちは周辺を探し続けるものの
真人の姿は見つけられず、最初に別れた真人の家の跡地で
待機させていたタクシーに再び取り込んだ。




次にタクシーで到着した場所は、
何度かボクも来たことのある、海が見える丘にある墓地。


この場所には、真人のお祖母ちゃんが眠ってる。



タクシーを降りると、
真人のお父さんは真っ直ぐ、目的の場所へと歩いていく。


ボクは走って小父さんに追いつくと、
思い切って話しかけた。



「この場所、真人のお祖母ちゃんが眠ってるところだよね。
 ここに神楽小母さんも眠ってるんですか?」


問いかけた言葉に、小父さんは頷いた。




「瞳矢、俺先に走って見てくる」

「ボクも行くよ」




浩樹と共に慌てて走りながら、
墓地を駆け抜けるボクたち。



途中、ボクの携帯に、
直澄たちがこの場所に辿り着いたこともわかった。



陽が落ちて暗くなった墓地に響く、
真人の名を呼ぶ、ボクたちの声。



夜の空気に、真人の名を呼ぶ声が
木霊していく。




真人……確かもうすぐだよね。
真人が一番大好きだった場所。
真人とお母さんの思い出の場所。


「兄さん。
 あそこっ!!」


林を抜けたボクの視界に入ってきたのは、
地面に倒れこんでいる真人の姿。


真人と神楽小母さんのお気に入りのその場所には、
新しいお墓が建ってた。



「真人」


ボクは慌てて駆けつける。

そのボクよりも早く義兄さんが真人の異変に気がついた。


「瞳矢、院長呼んできて」

義兄さんが慌てて真人のもとに駆け寄る。


「義兄さん、何があったの?」


真人の近くに落ちているケース。

……何……?



「瞳矢、早く。院長を」



慌しくなる空気。