「桜のテレ屋さんっ♪」



「う、うるさいよっ」


おどけて言う雪。


そんな余裕そうな声にムッとしてついつい、いつもみたいに冷たく言ってしまった。


しまった。また雪に冷たく………。


何も言わない雪が、また怖くて腕に力を入れた。


だけど、帰ってきた声は



「桜、俺って結構我慢強いんだよね。……頑張るから」


そんな、優しい声。



ぽんっ…と頭の上に暖かい感触がしたと思ったら、それは私の頭の上を何度も何度も往復し始めた。



あっ…私、今…頭撫でられてるんだ……。


そう考えると、体中がほんわかした気持ちになった。




この時はまだ、雪が言った言葉の意味が分からなかった。




その意味を知ることになるのは、




ずっと後の話。