泡沫夢幻






「別に渡らないよっ!黒崎君は目の保養なの」



「…そ?ならいいけど」



「そうだよ!かっこいいなって見てるだけ」





…そう、私は見ているだけだ。






彼を好きになってはいけない。



その想いの橋を渡ろうと一歩踏み出せば、
次の瞬間には底なしの谷底へと堕ちるだけ。

対岸へと渡ることは、彼への想いが実ることは



______決してないのだ。







来る者拒まず、去る者追わず…そんな人だったならば私は好きになっていたかもしれない。

周りの子もきっと、一夜の望みだって持ってたし、あわよくばその先に希望を抱いていたかもしれない。





けれど、黒崎君はそんな人ではない。




彼はなんの望みも、希望も持たせてはくれないのだ。





それを優しさと捉える人もいれば、残酷だという人もいる。