「お願い、待ち合わせてたふりして」




それだけで状況を理解したのか、諏訪はあたしを庇うように前に出た。






「俺の連れなんですけど、なんか用すか?」





身長も高くてバスケ部キャプテンの諏訪。





ヒョロいイケメンに見えるけど、それなりの威圧感はある。





よかった、諏訪で。





「な、本当に連れいたのかよ」






そう言って男はそそくさと逃げていった。





「ありがと、諏訪」






「いや、いいよ。こういう時よくああいうのいるよな……それより、棗は?」





「来ないの、棗」






あたしはうつむきがちに言った。