いつもみたいに、寝坊だったらいいのに。 そう思うけど、寝坊の可能性はありえない。 棗は寝てても着信で起きるから。 棗がどこで何してるかわからないから、動くことができない。 こうやって、電話をかけながら待つだけ。 あたしはなんて無力なんだろう。 うつむいた瞬間、ポン、と肩に何かが置かれた。 ……手? もしかして、棗っ!? あたしはバッと振り返る。 「そこのお姉さん、1人?」 ……違った。 ていうか、誰?