サラサラした髪の毛を撫でる。
頬に触れると、棗は小さく身じろぎする。
そして、小さな声で唸った。
そんなこんなしてるうちに、怖かった映画は終わり、ちらほらと帰る人が出てきた。
「棗!起きて、映画終わったよ!」
「んー、まだある……」
もうないわ!
「寝ぼけないで、早く起きてよっ」
……なかなか起きない。
こんなに寝起き悪かったっけ?
前寝てた時はすんなり起きたのに。
「あたし帰っちゃうよ〜」
帰るなんて嘘だけど。
髪の毛を触りながらそう言う。
「……帰んなよー、起きる、から」
髪の毛を触っていたあたしの手を掴む棗。

