島の底に沈む

「うわぁ日本語めっちゃ上手だな!伝わる伝わる!!」
変わらないテンションで話す八重に、どうやら普通に受け答えできたようだとレオンは小さく安堵した。
「それでさーでさー」
しかし八重は随分とお喋りな子だった。よく初対面のしかも外国人にここまで話せるものだ。好きな食べ物から始まり怒涛の質問責めにあう。正直あまり人と長話をしない彼は多少疲れるが、無邪気な勢いに呑まれてしまう。それでもすぐにいい子そうな友達が出来て良かったな、と思っていると
「おーさすが八重、あっという間に転入生と仲良くなってんなー!」
と教室の向こうから八重に呼びかける男子達がいた。
「おうマサルちゃん!レオン君ねー、優しいよー!それに頭いいんだってー!」
ちょっと待て、別に俺が自ら頭がいいと言ったわけではない。得意科目を聞かれて理数と答えただけだ。しかしレオンの心の叫びは八重には届かなかった。そして八重は
「じゃ、またあとで!」
と言うと、話しかけてきた男子達に呼ばれるまま向こうへ行ってしまった。まさに疾風怒濤。その後も、様々なクラスメイト、時には他クラスから来た生徒達と仲良さげにしているところを見ると八重は随分と人気者らしい。さっき少し話しただけのレオンにもその理由はよく分かったが、これではせっかくの友達ともなかなか話せないかもしれないな、と彼は少し寂しく思った。