島の底に沈む

教室に入ると案の定生徒たち全員がなんとも興味深そうに目に期待の色を浮かべて自分を見てきた。ひそひそとこちらを見ながら会話する女子、イケメンだ！などと嬉しそうな顔をする人たち色々だ。まだかっちりとした日本語しか学んでいないレオンにはイケメンという単語は分からなかったが、とにかく教室はざわざわしているのを見て彼の不安は掻き立てられる一方だった。

それでも彼は負けじと自己紹介を、それでもかなり簡潔に始めた。
「イタリアから来ました。レオン・カルヴィーノです。よろしくお願いします。」
全く前を見ず下を向いてボソボソと呟くように喋り、そして軽くオジギをして拍手の音が始まるとすぐに一つだけ空いていた机に逃げるように座り込んだ。恐らくレオンの自己紹介はやはりクラスメイト達の想像と多少違ったのだろう。教室に入った時とはいささか異なった様子でざわざわしている。

まあこれで多少浮いたり誰も話しかけなくなっても別に構わないか、そう思いながら授業を受けていると休み時間が始まるや否やレオンに話しかけてくる者がいた。右隣の席に座っていた女子だ。