君と2人の帰り道

「……な……はな…はなっ!」

ん?

なおのこえ……?

目を開けると目の前にはずぶ濡れになったなおがいた。

「え、なんでそんなに濡れてるの!?風引くよ?」

私は意味がわからなくてそんなことを言ってしまった。

でも、あれ?なお、泣いてる?

「ね、なんで泣いてるの?どーしたの?」

すると、なおに強く抱きしめられた。

「ちょっ……なおどしたの!?」

「はな……っ!無事でよかったっ!」

無事?

無事って……あーそーか。

私流されたんだ。

5歳の男の子を助けて自分が流れたんだ。

あぁーもぅ何やってるんだ。

「……………助けてくれたの?」

なおは頷いた。

なんか、すごくかわいいと思ってしまった。

私はなおに抱きついた。

怒られるって思っても抱きついた。

「ありがと…………なお…………っ!」

私も泣いた。

どんだけ好きにならせんのよ………!

命の恩人だよ……っ。

なおは怒ることなく私のことを抱きしめ返してくれた。


「…………………さっき、なんで暗い顔してたの?」

私は聞いた。

すると『それは今は言えない』って言われちゃった。

今はって事はいつか教えてくれるんだね。

じゃ、許してやるか。

「…………俺の好きな人のこと考えてたの」

………なおの好きな人。

知りたいな。