「今日は…殴んないのか?」 やっと口を開いたと思ったら静かに呟く。 殴られることを覚悟していたかのように… 「殴りたいのは山々だよ…」 だけど俺は殴らない。 殴ったところであのときサヤが負った傷が消えることはないんだ。 もう覚えていないとしても、きっと今もサヤの心の片隅に刻まれている。 一度負った傷を忘れることはあっても消えることなない。 「殴ってくれたほうが俺もスッキリするけどな…」 「は…?」 奴は両手をポケットに入れ、殴ってくれとでも言うように俺に体を向けた。