あの日以来、サヤと言葉を交わしていない。
あんなやり方でサヤの記憶を戻したあいつをどうしても許せなくて殴ろうとしたときもあった。
でも、そんな俺を胸の内に刻まれたサヤの笑顔が止めるんだ。
「ハル!」て…
もう聞くことはないのに…
もうほとんど感じなくなってしまった、部屋を漂う薔薇の薄れ香。
気付かないうちにきっとこのまま完全に消えていくのだろう…。
そして俺は部屋の隅に置かれていた真っ白いキャンバスを手に取った。
あの日サヤに出された宿題はまだ真っ白いまま…
何を描けばいいのか分からなかったから。
だけど…今なら描ける気がした。
俺の中にあるサヤのイメージ…


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