空色canvas





「おまえさえいなければな…」


「………」



淡々と発せられる言葉にイラッとする。



「おまえが彩耶に近付いてなかったら俺だってこんなことしてねーんだよ!」



胸ぐらを掴んだままの俺の拳を乱暴に払いのけた。

そして殴られたときに切れた口元をぐっと拭うと立ち上がった。




「う…ひっ……ひっく…」



膝を抱え泣き続けるサヤを見ながら、俺に言い聞かせるように吐き捨てた。




「俺は絶対に彩耶の記憶を取り戻してみせる」


「………」



もう一発殴ってやろうかと思った。

だけど俺が立ち上がる間もなく奴は部屋を出て行った。



「………」


「…うっ……ぐすっ…」


静まり返った部屋にはサヤのすすり泣く声だけが聞こえている。