「あの絵がサヤが最後に賞をとった絵ってことですね…」
「いや…あの絵は賞をとれなかったんだ」
「え……」
「いつもの彼女の絵とは違うことに周りも気付いていた。あの絵こそが彼女の本当の絵に近かったのにね…」
カップにまだ半分以上残っているコーヒーからはもう湯気は立ち上っていない。
黒い水面に天井が写しだされていた…。
「試したんだと思うよ。自分の絵を…。
私は完璧じゃない…そう伝えたかったのかもしれないね」
「………」
俺は…
学食に飾られている赤い絵よりあの青い女性の絵のほうが好きだ。
あの青い女性の絵より俺はサヤが描く空のほうが好きだ…。


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