「………」
何で…
何で描きたいものを描いたらいけないんだ?
「そのときの彼女の表情、想像できるかい?
ただ一言、君の描きたいものを描いたらいい…そう言ってあげればよかったんだ…」
先生は思い出したように目を伏せた。
…その表情は後悔の表れですか?
「“わかりました”彼女はそう言って黒いキャンバスを持って去って行ってしまったよ。
だけど彼女なりの反抗だったのかな。テーマの女性を青一色で描いた。
黒いキャンバスに浮かび上がる青い女性…あの女性は彼女自身だよ」
あの絵をもう一度思い出してみる。
だけど俺はどうしてもあの絵とサヤを重ね合わせることができなかった。


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