「君はこの絵に何を感じる?」
先生は俺から絵へと視線を移した。
真っ黒く塗り潰されたキャンバスに、青い線で一人の少女が描かれている。
とても寂しそうに、今にも泣きそうな目でどこかを見つめている。
「………」
俺はこの絵を見て何を思ってる…?
「…濡れているね。雨の中、傘もささずに来たんだろ」
いつのまにか先生の視線は俺に戻っていた。
「あ…来る途中で降りだしたんで…」
それを聞いて先生は穏やかに微笑む。
「そのままだと風邪をひく。温かいコーヒーを入れよう…」
「えっ…」
「君に話があるんだ」
「………」
そう言って背を向けて歩きだす先生の後ろを黙って付いて行った。


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